今回はラテン語の動詞vertoを由来とする言葉を見ていきます。vertoは「回す」の意味です。過去受動分詞はversusで「回された」という意味を持ちます。
コンバーター・変換器
英語ではconverterと書きますがこの中にもvertoが入っています。頭に「一緒に」の意味を持つ接頭辞con-と動作する人やものを表す-erがついたもので「一緒に回すもの・人」という意味です。一般にコンバーターとはある入力があるとその入力とは違うものに変えて出力するもののことを言います。デジタルをアナログにしたり電気を音や光に変えたりその逆であったりという動作をする装置です。この入力と出力を「一緒に」行っているのです。
vs・対戦相手
よくゲームやスポーツでvsという言葉を使います。「ブイエス」と読むこともありますがこれはversusの略です。ヴァースス、ヴァーサス、バーサスなどと読みます。versusuはvertoの過去受動分詞「回された」の意味です。何を回されたかというと進む方向です。もし一緒の方向を向いていれば「味方」ですが片方が他方の反対を向いている場合「敵」「対戦相手」という意味になります。
リバース・反対向きに回す
リバースとはversusに接頭辞re-がついたものです。re-は「再び」という意味の他に「反対向きに」の意味があります。versusは受け身の意味があるので「反対向きにされた」という意味を持ちます。英語ではこれを動詞として「反対向きに回す」という能動の意味を持たせています。
俗語で嘔吐の意味を持ちますがこれは消化器官が「反対向きに回っている」という意味で使われている上手な応用だと思います。
リバーシブル・裏返し可能
このリバースに可能性を表す-ibleをつけると「反対向きでも可能な」という形容詞になります。日本語でよく使われるのはシャツや上着を表向きでも裏向きでも着ることができ、一着の服で多少デザインを変えることができるものを言います。
英語での使用例
vertigo
「めまい」のことを言います。めが「回る」ところから来ています。
avert
また動詞avertは「〜から」を意味するaというラテン語の前置詞が先頭について「(目などを)そらす」
avert one’s eyes from … 「…から目をそらす」
divertissement, divertimento
音楽用語でそれほど大きくないグループで演奏されるわかりやすい曲のことを指します。divertissementはフランス語、divertimentoはイタリア語から来ています。これはdi-「離れる」がつくことによって「現在の場所や目的(本来回っているところ)から離れる」という意味になります。フランス語やイタリア語では「気晴らし」という意味に使われている単語です。