文法の法:直説法・接続法・命令法・不定法

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文法の法について

文法用語は難解に聞こえたり、学ぶ外国語によっては定義が違うなど面倒です。文法が苦手というのは理由あっての事だと思います。今回説明する法もその一つだと思います。文法の法とは方式・方法の意味を持っています。

簡単にいうと「その言葉を発している人がその内容に対して表現する態度」が法を決めます。自分の言っていることを信じているかそうでないか、そうあって欲しいのか、誰かにそうして欲しいのか、または全く態度を保留しているのか、そういった表現が法になります。英語だとムード moodと呼ばれていますがいわゆる「ムード歌謡」などのムードとは違う由来です。フランス語ではモード modeといわれこれが英語化したものがmoodだとされています。ラテン語では直説法、接続法、命令法、不定法があります。分類の仕方によっては他にも挙げられますが一旦この四つだけ説明します。

直説法 indicative

「指し示す事に関する」という意味で「事実」に関係した法になります。過去に起こった事や現在起こっている事については事実かどうかは判断しやすいでしょう。直説法は未来にも言及しますがそれはあくまで語り手が確実と思う未来のことになります。

接続法 subjunctive

「連結する事に関する」という意味で「非現実」に関係した法です。主文で使われる事は少なく従属文の中で使われます。たとえば

私は明日地震がこないか心配だ。

という場合「私は心配だ」ということは本人にとっては事実です。ただ「明日地震がくる」ことに関しては事実とは言えません。地震を起こす装置にタイマーかけて明日確実に地震が起こる事が予定されているのであれば別ですが。

このような非現実のこと、現在のタイムラインでは将来起こりそうもないことは接続法で語られます。ラテン語でも主文ででてくることがあります。この場合「〜しようではないか」という英語のlet’sに相当するものや「〜でありますように」という今のままでは起こりえない願望などが表現されています。

命令法 imperative

「命令する事に関する」の意味です。直説法と並んでイメージしやすい法です。皇帝を意味するエンペラーも「命令する人」からきています。

不定法 infinitive

「限定しない事に関する」の意味です。ラテン語では限定されないとはいえ時制や受動能動態で変化しますので「人称や数に限定されない」という意味で使われています。

英語だと法の分類にはならず不定詞と呼ばれています。ラテン語で法に分類されるのは不定法を使った構文が発達しているからと思われます。英語でも不定法の構文はあります。

I heard him cry. 彼が泣くのが聞こえた。

ここでcryは不定詞でその動作を起こすものはhimです。通常はhe criesになるところがI heardの目的格として文全体が不定構文に変化してhim cry「彼が泣く事」という形になっています。「聞こえた」ことは事実認定していますが「彼が泣く」については肯定も否定もしていません。

その他の法や近いもの

ギリシア語には希求法という接続法に近いものがあります。ほかには分詞構文も法の一種にする考え方があります。動形容詞、動名詞という動詞由来の変化も構文の形をとれば法に近いものと言えます。機会があればこれも説明したいと思います。

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コメント

  1. 松井 保憲 より:

    indicativeは、「直接法」ではなく「直説法」と書くのが普通ではないでしょうか。

    • ミナ・ベルジェ より:

      ご指摘の通りです。修正しました。コメントありがとうございます。

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