ラテン語の動詞:完了語幹について

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完了語幹は現在語幹とは形が異なりものによっては全く似ていないものもあります。一般の辞書の見出しには現在語幹で作られた直説法現在能動態一人称単数と合わせて直説法完了能動態一人称単数も平気されています。

完了語幹から作られるもの

完了語幹からは以下の活用が作られます。

  1. 直説法完了能動態
  2. 直説法過去完了能動態
  3. 直説法未来完了能動態
  4. 接続法完了能動態
  5. 接続法過去完了能動態

上記はすべて能動態です。これに対応する受動態は活用した動詞sumに本動詞の過去受動分詞をつけるため完了語幹は使われません。

完了語幹の例

現在語幹から何かの法則で完了語幹が必ず導き出されるわけではありませんがいくつかの傾向があります。一人称単数の人称語尾-īがついた形で例を挙げます。

現在語幹に-u-または-v-がついたもの

第一活用に限っては現在語幹と完了語幹は規則的な関係にあります。現在語幹の最後の-a-に-v-がつきます。

  • amō → amāvī「私は愛した」

他の活用でもこのケースは見られます。

  • dēleō → dēlēvī「私は壊した」
  • audiō → audīvī「私は聴いた」

現在語幹が少し変化して-u/v-がつくものもあります。第二活用によく見られるのは現在語幹の-e-が脱落して-u-がつくケースです。

  • obtineō → obtinuī「私は保持した」

現在語幹に-s-がついたもの

主に第三活用で見られます。以下のように他の活用でも見られますが頻度は低いです。

  • permaneō → premansī「私は残った」

第三活用では現在語幹の末尾の子音とsが連続すると音が変化します。

  • b + s → ps
  • g + s → k + s → x
  • t + s → (t)s →s

この変化を含む例です。

  • scrībō → scrīpsī「私は書いた」
  • regō → rēxī「私は統治した」
  • mittō → mīsī「私は送った」

以下にもありますが現在語幹に含まれる短母音は完了語幹で長母音になる傾向があります。

現在語幹の一部が二重になるもの

現在語幹の一音節が重ねられて完了語幹になるものがあります。

  • curro → cucurrī「私は走る」
  • tondeō → totondī「私は刈った」
  • do → dedī「私は与えた」

現在語幹の母音が変化するもの

現在語幹に含まれる短母音が長母音になります。

  • veniō → vēnī「私は来た」
  • legō → lēgī「私は読んだ」

長母音化とともに母音が変わるものもあります。

  • capiō → cēpī「私は取った」
  • accipiō → accēpī「私は受け入れた」

現在語幹と完全に異なるもの

これはそれほど数が多くないのですが頻度は高いので出た順に覚えていく他はありません。中には完了語幹に使われる動詞は現在語幹の動詞とは元々別であった場合もあります。

  • sum → fuī「私は〜であった」
  • ferō → tulī「私は運んだ」

二つの現在語幹が同じ完了語幹を使っている場合

二つの別の動詞が同じ完了語幹になるケースがあります。

  • sustulī → tollō「私は起こした」 / sufferō → tollō「私は支持した」
  • pendō → pependī 「私は重さがある」/ pendeō → pependī「私は保留の状態でいる」

現在語幹で不規則活用をする動詞の扱い

現在語幹で不規則活用をしていた動詞でも完了語幹から作られる活用は規則的になります。

  • volō → voluī「私は欲した」
  • nōlō → nōluī「私は拒んだ」
  • mālō → māluī「私は好んだ」
  • eō → ivī, iī「私は行った」
  • possum → potuī「私はできた」
  • prosum → profuī「私は有用であった」
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