北欧神話:ユミルとオーディンとベルゲルミル

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『散文のエッダ』 The Prose EddaのギュルヴィたぶらかしThe Deluding of Gylfi (en.) Gylfaginning (ON)の中で北欧神話の中心的な神オーディンÓðinnの誕生が語られています。

ユミルの誕生

原初の世界にはギンヌンガガプGinnungagapと呼ばれる空洞があったと言われています。そこでまず巨人ユミルYmirが誕生します。ユミルはÝmirとも表記されることがありこの場合はユーミルという感じの音になります。

ユミルはギンヌンガガプで生まれた雌牛アウヅムラAuðhumulaから流れる乳を糧としていました。

ユミルは氷の巨人の種族フリームスルスhrímþursです。ユミルからたくさんのフリームスルスの子孫が生まれます。

オーディンの誕生

雌牛アウヅムラは霜で覆われた岩塩を舐めて生きていました。その岩塩が舐めとられる中からブーリBúriという男が出てきます。これがオーディンの祖父にあたります。ブーリはボルBorrという息子を生みボルは妻ベストラBestlaという巨人ボルソルンBölþornの娘を娶ります。この二人からオーディンと二人の兄弟ヴィリVili、ヴェーVéが生まれます。

ユミルの死とフリームスルスの滅亡

世界を支配するためにオーディンと二人の兄弟はユミルを殺します。このときユミルから流れ出した血の量があまりにも多くフリームスルスたちはみんな溺れ死んでしまいます、ただしベルゲルミルBergelmirとその妻を除いては。

ベルゲルミルは新しい巨人の始祖となります。

ベルゲルミル誕生の歌

ギュルヴィたぶらかしの7節でベルゲルミルの歌が引用されています。ベルゲルミルは血の海を船に乗って助かりました。

Ørófi vetra

無数の冬に

  • ørófi 与格単数 øróf 無数のもの
  • vestra 属格複数 vetr 冬

áðr væri jörð of sköpuð

世界が作られる前の

  • áðr 接続詞 より前
  • væri 三人称単数接続法過去 vera 英語のbe動詞
  • jörð 女性名詞 地球、大地
  • sköpuð 過去分詞 skapa  形作る

þá var Bergelmir borinn ;

そのときベルゲルミルは生まれた

  • þá そのとき
  • borinn 過去分詞 bera 産む

þat ek fyrst of man

私は彼を最初に思い起こす

  • fyrst 副詞最上級 fyrri 最初の
  • man 一人称単数 manu 思い起こす

er sá hinn fróði jötunn

賢い巨人である彼が

  • er 英語のthatに相当 〜こと
  • fródr 賢い
  • jötunn 巨人

á var lúðr of lagiðr

箱舟の上に横たわっている様を

  • á 前置詞 の上に
  • luðr 真鍮製のもの、または丸木舟
  • lagiðr 過去分詞 leggja 横たわる

世界の誕生

オーディンたちはユミルの体を使ってギンヌンガガプの空洞を埋めます。血は海に肉や骨は大地になりました。これが世界の誕生と言われています。

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