日本語にかなり浸透しているラテン語がいくつかあります。あまりに身近すぎて意識しない言葉の類です。普段なにげなく使っているものの成り立ちを知るとより使い勝手がよくなると思います。
アドリブ
日本語では「その場の雰囲気に合わせて」「予定を立てずに」という意味で使われると思います。これはad libitumの略です。libitumは非人称動詞libet「気に入る」の過去受動分詞です。adは前置詞で英語のtoに相当します。なのでad libitumの直訳は「気に入られたものに対して」という意味になります。実際には「その場に適するように」何かをすることという使われ方をします。
音楽の即興演奏のこともアドリブと言われますが正式な英語は動詞improviseや名詞improvisationという単語を使います。
アリバイ
alibiという副詞で代名詞alius「不特定のもの」「他のもの」と副詞ibi「その場所で」という二つの単語が連結した言葉です。「どこか他の場所で」という意味です。
よく刑事ドラマにでてくる言葉ですが「犯行現場とはべつな場所にいたことを示す証拠」という意味で使われています。
ラテン語の読み方はアリビーですが英語式な読み方でアリバイとなっています
アドホック
「その場かぎりの」という意味で使われています。これは英語に訳すとto thisとなります。つまり「限定的なこの事柄に対して」という意味です。
エイリアン
英語ではalienですが、これはラテン語のalienusから来ています。alienusは形容詞で「他の場所やものに属する」人や物を意味します。代名詞aliusとも関係があります。日本では「異星人」の意味で使われていますが元々は「外国人」という意味で使われていました。
アプリオリ
「前もって」とか「先験的に」という使われ方をしています。aprioriまたはa prioriと書かれます。aは前置詞で英語のfromに相当します。prioriは「より前の」という形容詞priorの奪格単数です。「ことが起こる前から」という意味になります。
反対語はaposteoriといい「ことが起こった後から」という意味の単語です。