ギリシア語の名詞の第一変化型はαを語尾に含みます。またちょうどラテン語の第一変化形と同じく女性名詞がほとんどです。数は少ないですがいくつかの単語は男性名詞になります。
女性名詞の変化形
女性名詞はさらに以下の3パターンに分類できます。
- 長いαで終わるもの
- 短いαで終わるもの
- ηで終わるもの
長い-α 1日 |
短いα 舌 |
η 頭 |
||
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単 | 主 | ἡ ἡμέρα | ἡ γλῶττα | ἡ κεφαλή |
呼 | ἡμέρα | γλῶττα | κεφαλή | |
対 | τὴν ἡμέραν | τὴν γλῶταν | τὴν κεφαλήν | |
属 | τῆς ἡμέρας | τῆς γλώττης | τῆς κεφαλῆς | |
与 | τῇ ἡμέρᾳ | τῇ γλώττῃ | τῇ κεφαλῇ | |
双 | 主・対・呼 | τὼ ἡμέραι | τὼ γλῶτται | τὼ κεφαλαί |
属・与 | τοῖν ἡμέραιν | τοῖν γλώτταιν | τοῖν κεφαλαῖν | |
複 | 主 | αἱ ἡμέραι | αἱ γλῶτται | αἱ κεφαλαί |
呼 | ἡμέραι | γλῶτται | κεφαλαί | |
対 | τὰς ἡμέρας | τὰς γλώττας | τὰς κεφαλάς | |
属 | τῶν ἡμερῶν | τῶν γλωττῶν | τῶν κεφαλων | |
与 | ταῖς ἡμέραις | ταῖς γλώτταις | ταῖς κεφαλαῖς |
規則1 -αで終わる名詞の変化
主格が-αで終わる名詞のうちἡμέραのようにその前の文字が母音またはρの場合は全ての変化系で-αを保持します。ただし複数属格は縮約してαは消えています。
γλῶτταのようにρ以外の子音で終わっている場合は単数の属格と与格で-αが-ηに変化します。
規則2 -ηで終わる名詞の変化
κεφαλήのように主格が-ηで終わる名詞は古くは長母音のαでした。ギリシア南西部のドーリス方言Dorianではこの長母音のαが保持されていました。一方で東部小アジアのイオニア方言Ionianではηに変化しました。
Atticアッティカ方言ではρと母音とくにιとεの後では長母音のαを保持します。例外は元の形が変化している場合が多いです。
- κόρη 若い娘(κόρϝηより)
- κόρρη 寺院(κόρσηより)
-οαで終わる単語は表記に揺れがあります
- πόα, ποία 芝
- στοά, στοιά 扉
- πνοή, πνοιά, πνοά 息
- βοή 叫び
- ζωή 命
- χλοή 緑
規則3 -(j)αで終わる名詞の変化
短いαのうちいくつかはその昔-jαで終わっているものがありました。これらの単語は全ての変化でαを保持していました。
長い-jαで終わっていたものは変化して-ειαの形になりました。
- ἀλήθεια, -είας 真実
- βοήθεια, είασ 安全
規則4 与格複数の変化
与格複数の語尾は-ησι, -ῃσι, αισιなどのケースがありますが5世紀ごろには全て-αιςで統一されました。