インターネットでローマ字が優れている理由
現在のインターネット技術の基本的な部分はアメリカで発達しました。このため使用できる文字も最初は英語で表現できるもののみでした。初期のインターネットで使用できる文字はASCII文字のみでした。ASCIIとはAmerican Standard Code for Information Interchangeの略で「情報交換のためのアメリカでの標準コード」という意味です。この中で使えるコードを見てみましょう。
- 大文字と小文字の半角英字 A~Z a~z
- 半角数字 0~9
- 記号 ! ” # $ % & ‘ ( ) * + , – . / : ; < = > ? @ [ ¥ ] ^ _ ` { | } ~
- 半角空白
英語ではこれだけあれば全く問題ないでしょう。でも他の言語にとってはどうでしょう。
例えば日本語は当初は全く使えませんでした。最近は使わないように言われている半角カナはこのころに試行錯誤の末作られたものです。今でこそ日本語は自由に使えるようになっているものの裏の見えないところでの仕組みはそれほど変わっていません。送り手が日本語をある決まりでASCIIに変換して、受けてがそれを同じ決まりで日本語に復元しているのです。
そして日本語と同じようにフランス語やドイツ語も特殊なアクセントや記号を使っているのでそういった文字は通信するのに特殊な仕組みが必要です。
ギリシア語のローマ字からの復元について
英字しか使えない環境ではローマ字に変換して表現します。外国に行くときはだれでも日本名をローマ字表記にします。しかし一度ローマ字に変換してしまうと完全な日本語に復元するのは不可能になります。例えば武田さんも竹田さんもローマ字表記ではTAKEDAとなります。逆にTAKEDAというローマ字からは「タケダ」という音は復元できても漢字までは復元できません。ローマ字には漢字の情報を持たせることはできないからです。
フランス語でもカフェを表すcaféはしばしば英語でcafeと書かれます。eの上にあるアクセント(英:acute accent、仏:accent aigu)が消失してしまうのです。
同じことがギリシア語にも言えます。ギリシア語の「エ」は短いεと長いηがありますがローマ字では両方ともeとなります。ωとοも同じようにローマ字のoになります。
ソクラテスはΣωκράτηςと書き本来はソークラテースという発音になります。太字のラを少し高い音にします。ローマ字ではSocratesと表記されωやηといった長母音の情報やαの上のアクセントは消失します。このローマ字表記からギリシア文字に形式通りに復元するのは不可能です。日本でもソクラテスと呼ばれソークラテースという音に馴染みがないのはローマ字経由で伝わったからではないでしょうか?
ローマ字でギリシア語を復元可能な状態で表記する試み
日本語の漢字情報をローマ字に持たせるのは試されたことはないと思います。情報量が多すぎて困難だからです。それに比べギリシア文字は同じアルファベット同士ということもありローマ字、あるいはASCIIと近い関係にあります。このため復元可能な状態で記述する方法が模索されてきました。
今一番主流な記述方法はBeta Codeというものになりますが詳細は以下の記事を参照してください。