学習計画の大事さ
今までいくつかの言語を学んでみて思ったのは学習計画を立てる大事さです。これは先生がいてカリキュラムがあるのであれば何も考えず指導を受けるのが良いでしょう。
しかしいつも最良の指導者がいるとも限りません。まして古典言語となるとそのような指導者が見つかっても時間的、距離的、経済的な制約で指導を受けるのが難しいことがほとんどだと思います。どこかの機会があれば是非指導を受けたりクラスに入ったりする方がよいのですが沖に向けて良い風が吹いているのに船を出さず眺めているのは辛いことです。
そこで道を誤らないような学習計画を自分で立てられるかどうかは独習を成功させる大きなポイントになります。もしこれから独学しようと考えている方は是非参考にしてください。
学習の段階は大きく3段階になると思います。
- 環境整備と基礎
- 文法の学習
- 読解とボキャブラリーの充実
一つ一つ説明します。
1. 環境整備と基礎
これは学習以前の準備と考えて良いと思います。旅に出る前の持ち物準備といったところでしょうか。以下にチェックリストをつけますので準備できているか確認してください。場合によってはこの段階は何ヶ月もかかることがあります。
学習書の決定
基本的な文法が一通り書かれている学習書を選びます。自分に合うものを見つけるために複数の学習書を試す必要があるかもしれません。また初心者向けの一部の文法だけのものでも構いません。その場合はまたあとで次の本を決めればよいですし、ある程度知見がたまっている分決めやすくなると思います。
またラテン語やギリシア語についての日本語で書かれた学習書は限られているので英語やフランス語がある程度できる人は是非選択肢にいれてみてください。何よりのメリットはまわりまわって英語やフランス語の上達にもなることです。
私はラテン語を学ぶ時に英語の参考書で学びましたが後半で挫折してフランス語に切り替えました。どうも高度な文法になると英語にないものが多く難しく感じられました。フランス語を学ぶのはかなりの回り道でしたがFESTINA LENTE(急がば回れ)です!
ラテン語に挫折しそうな時は無理をしないで英語やフランス語の基礎を見直すのもスランプに陥らない良い方法だと思います。
辞書の決定
ネットにはオンライン辞書がありますがやはり紙の辞書を手元に置いておきたいです。持ち運びを考えるとコンパクトなものがよいです。羅英(ラテン語から英語への)辞書や羅仏(ラテン語からフランス語への)辞書はペーパーバックの軽くて安くて使いきっても気にしなくて良いものが出ています。上級者には物足りないかもしれませんが中級程度には十分対応できるはずです。
- 羅英:Pocket Oxford Latin Dictionary (ISBN: 978-0198610052)
- 羅仏:Dictionnaire Latin De Poche (Latin-Francais) (Ldp Dictionn.) (ISBN: 978-2253085331)
ギリシア語の辞書もあげておきます。
- ギ英:The Pocket Oxford Classical Greek Dictionary (ISBN: 978-0198605126)
- ギ仏:Dictionnaire : Grec-Français (ISBN: 978-2218718618)
学習環境の準備
全て手書きで覚えるというのであればノートや筆記用具の準備をします。ノートはいろいろ試しましたが今はルーズリーフを使っています。文法事項やボキャブラリーなど後で何度も見返しそうなものを問題演習と分けておくと、自分専用のリファレンスを作ることができて便利です。
筆記用具は複数の色を用意しておくとノートが見やすくなります。一本に何色も入っていてノブで切り替える多色ボールペンよりボールペンを色別に複数本持っていた方が持ち替えが早く便利です。
PCを使うのであればキーボードの設定やテキスト用のプログラムの準備をしておきます。キーボードについては別のところで記事を書いていますので参考にしてください。
文字と発音の習得
おそらく学習書の最初の章は文字と発音についてのことが書かれていると思います。ここは準備の段階に入れておきたいです。どんな字があるのか、それがどんな音なのかを覚えて書けるようにしておきます。
これはラテン語であればローマ字なので慣れている文字ですがギリシア語は普段使わないので書き取りをしてすらすら書けるようにしておきたいです。またそれぞれの音を覚えておきましょう。英語でもそうなのですがLとR、BとVなどカタカナにすると同じになってしまう音は頭の中で別の音として区別できるようにしておきます。
目標とするテキストの決定
読めるかどうかは置いておいてこんなものが読めたらいいなと思うものを目標にしておきます。これが読めるかどうかが自分での学習の進度の参考になるはずです。
学習の開始
ここまできたら学習を始められると思います。次回に続きます。