動詞の変化の事を日本語で活用、英語でconjugation、フランス語でconjugaisonと呼びます。
ギリシア語の活用は不規則なものが多く非縮約型-ω動詞として見てきた λυώのように行かないものがほとんどです。その中で-εύωで終わる動詞、-ζωで終わる動詞はほぼ規則的であるといえます。
時制による変化は不規則になりがちで、とくに未来形は辞書に当たる必要があります。
以下個別に注意事項を挙げます。
能動態
希求法アオリスト
二人称単数と三人称でそれぞれに種類の変化が存在します。特に理由なく不規則変化のほうが多く使われるようです。
規則変化 | 不規則変化 | 理論上の形 | |
二人称単数 | λύσαις | λύειας | *λυ-σ-σαι-ς |
三人称単数 | λύσαι | λύσειε | *λυ-σ-σαι-∅ |
三人称複数 | λύσαιεν | λύσειαν | *λυ-σ-σαι-εν |
接続法完了
単一の変化の他に複合時制による変化も存在します。完了分詞とεἰμίの接続法現在の2語で構成される変化は中受動態で見られます。分詞は性と数で変化します。
一般的に完了はアオリストに比べて利用頻度が低く複合時制による活用の簡略化のパターンが存在すると考えられます。
以下通常変化と複合時制による変化、あと参考のために受動態の変化を一覧にします。
通常の変化 | 複合時制による変化 | 中受動態 | ||
単数 | 一人称 | λελύκω | λελυκώς ὦ | λελυμένος ὦ |
二人称 | λελύκῃς | λελυκώς ᾖς | λελυμένος ᾖς | |
三人称 | λελύκῃ | λελυκώς ᾖ | λελυμένος ᾖ | |
双数 | 二人称 | λελύκητον | λελυκότε ἦτον | λελυμένω ἦτον |
三人称 | λελύκητον | λελυκότε ἦτον | λελυμένω ἦτον | |
複数 | 一人称 | λελύκωμεν | λελυκότες ὦμεν | λελυμένοι ὦμεν |
二人称 | λελύκητε | λελυκότες ἦτε | λελυμένοι ἦτε | |
三人称 | λελύκωσι(ν) | λελυκότες ὦσι(ν) | λελυμένοι ὦσι(ν) |
希求法完了
接続法完了と同じく複合時制の変化も存在します。完了能動分詞とεἰμίの希求法現在で構成されます。
通常の変化 | 複合時制による変化 | 中受動態 | ||
単数 | 一人称 | λύσαιμι | λελυκώς εἴην | λελυμένος εἴην |
二人称 | λύσαις / λύειας | λελυκώς εἴης | λελυμένος εἴης | |
三人称 | λύσαι / λύσειε | λελυκώς εἴη | λελυμένος εἴη | |
双数 | 二人称 | λυσαίτην | λελυκότε εἴτην | λελυμένω εἴτην |
三人称 | λυσαίτην | λελυκότε εἴτην | λελυμένω εἴτην | |
複数 | 一人称 | λύσαιμεν | λελυκότες εἶμεν | λελυμένοι εἶμεν |
二人称 | λύσαιτε | λελυκότες εἶτε | λελυμένοι εἶτε | |
三人称 | λύσαιεν / λύσειαν | λελυκότες εἶεν | λελυμένοι εἶεν |
命令法完了
能動態には存在しません。
受動態
未来受動分詞には義務の意味はありません。義務を意味する動形容詞は-τέοςという別な語尾を持ちます。
中動態
すべての能動態に対応する中動態が存在するとは限りません。
その他
フランス語の主節に出てくる条件法に近い表現はギリシア語では二通りの方法で表現されます。
- 可能性を表現する場合:希求法に接辞 ἄν を添えて表現する。
- 非現実を表現する場合:直説法の第二時制に接辞 ἄν を添えて表現する。
ジェロンディフはギリシア語には存在しません。その代わり不定詞に中性の定冠詞を添えて表現します。
Ὁ τοῦ πράττειν χρόνος
行うための時間