名詞句とは
名詞句とはある物事を指す一連の単語のグループのことです。以下例を挙げます。
- リンゴ
- 赤いリンゴ
- 見たことのないリンゴ
- ほっぺたが落ちそうなくらい甘いリンゴ
これらはすべて名詞句、名詞語句、あるいは名詞グループと呼ばれます。格となる名詞、または形容詞や分詞の実体化されたものを中心にしてそれに関連する修飾語を含めたグループのことを言います。
ちなみに「形容詞や分詞の実体化されたもの」とは
- 赤いもの
- 飛んでいる人
- 書かれたもの
などはっきりとした名詞を使わずに「もの」とか「人」を説明している場合を指します。
ラテン語の名詞句はその役割によって構成されるそれぞれの単語が変化します。その変化の傾向は直系のフランス語にも引き継がれています。
数の一致とは
ここからは英語とフランス語を数についての例として使います。文法の数についての詳細はこちらを読んでおいてください。
まず英語です。単数の赤いリンゴは
the red apple
ですね。ここでは説明のために定冠詞theにしています。そしてこれが複数になると
the red apples
になります。appleにsがついて複数になっていますね。
ではフランス語で同じように単数複数で赤いリンゴというと
la pomme rouge
les pommes rouges
となります。最初に定冠詞、pommeがリンゴという意味の名詞、rougeが赤いという意味の形容詞になります。フランス語はたいてい形容詞がかかる名詞の後にくっつくので語順が英語と変わります。
ここで英語との違いがあるのに気づいたでしょうか?フランス語では定冠詞と形容詞も複数になるのです。女性単数の定冠詞laは女性複数の定冠詞lesになります。形容詞rougesはsがついてrougesという複数系になります。
この変化を数の一致といいます。英語ネイティブがフランス語を学ぶ時このあたりはハードルになるようです。「フランス語は難しい」ということもできますが逆に見ると「英語は楽している」とも言えます。
性の一致とは
次に名詞の性の違いによる変化を見ます。文法の性についての詳細はこちらを読んでおいてください。
まず英語です。
the busy man
the busy woman
忙しい男の人と忙しい女の人ですね。ではこれをフランス語で書くと以下のようになります。
l’homme occupé
la femme occupée
最初に定冠詞、hommeは男の人、femmeは女の人という意味の名詞、occupéとoccupéeが忙しいという意味の形容詞になります。hommeは母音始まりと解釈されるため定冠詞とくっついてますがもとは le + hommeです。
男の人と女の人という名詞は英語とフランス語とともに別の名詞になります。しかし定冠詞と形容詞はフランス語で変化しています。フランス語の名詞はかならず男性か女性という性を属性として持っているのでその名詞に影響されて定冠詞や形容詞もそれに合わせて変化します。
leは男性単数の定冠詞でlaは女性単数の定冠詞です。まただいたいのフランス語の形容詞は女性に変化する時には末尾にeがつきます。もともとeで終わっているものは男女同形になりますが今回のoccupéの末尾アクセント付きのéは通常のeと別扱いのため女性形で別にeがついています。この変化を性の一致と言います。
性数一致のまとめ
ここまでのことを表にまとめます。以下フランス語で縦に数の変化、横に性の変化にしています。
男性 | 女性 | |
単数 | l’homme occupé | la femme occupée |
複数 | les hommes occupés | les femmes occupées |
- 定冠詞は単数形で男女違いますが複数形では同じです。
- 単数が複数になる時には通常後ろにsが付きます。
- 形容詞の男性形が女性形になる時には末尾に通常eが付きます。
- 形容詞の性と数の両方が変化する場合、つまり単数男性が女性複数になる場合には末尾にesが付きます。
ラテン語ではこの性と数の他に格でも変化が起こるのですが長くなったので次回にします。
格についてはこちらを見ておいてください。