前回第二変化形の基本的なパターンを見ました。ここではいくつかのバリエーションを見ます。
アッティカ式の変化
あまり多く無いですが、いくつかの単語は主格のοの場所がωになっています。そしてこのωを全ての格で保持します。これをアッティカ式第二変化形(仏:la deuxième déclinaison attique)と読んでいます。
寺院 | ||
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単 | 主 | ὁ νεώς |
呼 | νεώς | |
対 | τὸν νεών | |
属 | τοῦ νεώ | |
与 | τῷ νεῴ | |
双 | 主・対・呼 | τὼ νεώ |
属・与 | τοῖν νεῴν | |
複 | 主 | οἱ νεῴ |
呼 | νεῴ | |
対 | τοὺς νεώς | |
属 | τῶν νεών | |
与 | τοῖς νεῴς |
νεώςはνηός, ναόςなど時代地域によって表記が揺れています。他に
- ὁ κάλως 太いロープ
- ὁ λαγώς 野うさぎ
- ὁ ταώς クジャク
などがあります。
縮約するケース
変化語尾によって発生する-εο-, -οο-, -οε-などの母音の連続は-ου-に変わります。短母音のεやοは次に続く長母音や二重母音diphthongに吸収されます。[ ]の中は説明のための縮約前の形で実際のものとは違います。
精神 | 骨 | ||
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単 | 主 | ὁ νοῦς [νόος] | τὸ ὀστοῦν [ὀστέον] |
呼 | νόε | ὀστοῦν [ὀστέον] | |
対 | τὸν νουν [νόον] | τὸ ὀστοῦν [ὀστέον] | |
属 | τοῦ νοῦ [νόου] | τοῦ ὀστοῦ [ὀστέου] | |
与 | τῷ νῷ [νόῳ] | τῷ ὀστῷ [ὀστέῳ] | |
双 | 主・対・呼 | τὼ νώ [νόω] | τὼ ὀστώ [ὀστέω] |
属・与 | τοῖν νοῖν [νόοιν] | τοῖν ὀστοῖν ὀστέοιν] | |
複 | 主 | οἱ νοῖ [νόοι] | τὰ ὀστᾶ [ὀστέα] |
呼 | νοῖ [νόοι] | ὀστᾶ [ὀστέα] | |
対 | τοὺς νοῦς [νόους] | τὰ ὀστᾶ [ὀστέα] | |
属 | τῶν νῶν [νόων] | τῶν ὀστῶν [ὀστέων] | |
与 | τοῖς νοῖς [νόοις] | τοῖς ὀστοῖς [ὀστέοις] |
規則に沿って縮約している以外は通常の第二変化形と全く同じです。νοῦςの属格単数はのちにνόοςとも綴られるようになっています。
ラテン語との共通性
ギリシア語の名詞の第一変化形と第二変化形はラテン語の第一変化形、第二変化形と同じような扱いになっています。形容詞にも第一第二変化形があるのはギリシア語とラテン語共通です。また中性の直格(主格、呼格、対格)が常に同じというのもラテン語と共通しています。(サンスクリットにも共通性が見られます。)
ラテン語の名詞変化:第一変化形
ラテン語の名詞変化:第二変化形(1)
ラテン語の名詞変化:第二変化形(2)
ラテン語の形容詞変化:第一第二変化形