ラテン語の動詞:直説法現在受動態

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直説法現在の受動態を見ます。ラテン語の現在語幹での受動態は能動態の語尾を少し変えることで表されます。

現在語幹の受動態

例えば英語やフランス語であれば受動態はbeやêtreのあとに過去分詞をつけて2語で表現されますがラテン語は1語で表現されます。

例えば英語で I am called… というと「呼ばれた(状態に現在ある)」という完了の意味になってしまいますがラテン語の現在受動態は通常の現在「呼ばれる」の他に現在進行形「呼ばれている」の意味を持ちます。その意味では I am being called が一番近い表現になります。完了語幹で作られた受動態はI am calledとI have been called「私は現在呼ばれ終わっている」の両方の表現に対応するため英語とラテン語の受動態は一対一の対応になっていません。

能動態と受動態の語尾の比較

前にあげた語尾変化のうち能動態と受動態の部分だけ見ます。一人称と三人称での語尾-rまたは-urが特徴的です。

能動態 受動態
一人称単数 -(o)r
二人称単数 -s -ris
三人称単数 -t -tur
一人称複数 -mus -mur
二人称複数 -tis -minī
三人称複数 -(u)nt -(u)ntur

規則活用の動詞

第一
愛する
第二
壊す
第三A
読む
第三B
取る
第四
聴く
一人称単数 amor dēleor legor capior audior
二人称単数 amāris dēlēris legeris caperis audīris
三人称単数 amātur dēlētur legitur capitur audītur
一人称複数 amāmur dēlēmur legimur capimur audīmur
二人称複数 amāminī dēlēminī legiminī capiminī audīminī
三人称複数 amantur dēlentur leguntur capiuntur audiuntur

能動態と比較して注意する点

受動態の時には以下に注意してください。

第一第二第四活用の三人称単数で語幹の母音が長くなる

能動態では短母音であったものが受動態では長母音になります。

  • amǎt → amātur
  • delět → delētur
  • audǐt → audītur

第三活用の二人称単数の語幹の母音が短母音のiから短母音のeになる

  • legǐs → legěris
  • capǐs → capěris

不規則活用の動詞

ferō
行く 運ぶ
feror
ferris
ītur fertur
ferimur
ferminī
feruntur

注意する点

sumとvoloについて

これら二つの動詞とそこから派生する動詞については受動態はありません。

ēoについて

eōの受動態は非人称表現に使われる三人称単数しか存在しません。ラテン語では三人称単数の受動態で非人称表現をすることができます。

非人称表現とは主語にあまり注目を置かない表現です。非人称表現というと英語やフランス語で以下のようなものがあります。

  1. (英語)It rains.
  2. (英語)They speak Japanese in Tokyo.
  3. (フランス語)En France, on parle français.

この後の二つの例では日本語に訳す場合「東京では日本語が話されている」「フランスではフランス語が話されている」という受動にして訳すと理解しやすいことからもラテン語での表現の妥当性が理解できるでしょう。

ferōについて

能動態の不規則性をそのまま受動態でも引き継いでいます。このため基本的には第三活用ですが二人称単数、三人称単数、二人称複数の語幹で-i-の脱落が見られます。

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