ギリシア語の動詞変化は多様ですがいくつかの種類に分類することによって変化を予測することができます。
大きな分類としては原形として使われる直説法一人称単数の終わりが-ωのものと-μιのものに分かれます。それぞれ-ω動詞と-μι動詞と呼ぶことにします。
-ω動詞の分類
-ω動詞は人称語尾の-ωを取り除くと一番基本的な語幹になります。これを純語幹 radical purと呼びます。この純語幹が母音で終わるか子音で終わるかで大きく分けることができます。
母音で終わるもの
純語幹がどの母音で終わっているかによってさらに2つに分けることができます。
非縮約型-ω動詞 verbe en -ω non contracte
純語幹の最後の母音が-ι-と-υ-の場合です。
κωλύω | 邪魔をする |
πρίω | 切る |
παιδεύω | 育てる、訓練する |
縮約型-ω動詞 verbe en -ω contracte
純語幹の最後の母音が-α-、-ε-、-ο-の場合です。現在時制と未完了時制で縮約が起こります。-άωと-έωと-όωは縮約され-ῶの形になります。辞書では一般的に縮約前の形も記載されています。
子音で終わるもの
こちらもどの子音で終わるかによって3つに分類されます。
流音の-ω動詞 verbe en -ω à liquide
子音が流音つまりλ、μ、ν、ρのどれかの場合です。原形の末尾が-λω、-μω、-νω、-ρωの形になります。
黙音の-ω動詞 verbe en -ω à muette
子音がβ、π、φ、δ、τ、θ、γ、κ、χのものです。
歯擦音の-ω動詞 verbe en -ω à sifflante
子音が-σ-の場合、実際の変化では消失してしまいます。ただこれはこれで分類が必要なため歯擦音を表すディガンマdigamma ϝを使って説明されます。
-μι動詞の分類
こちらは三種類に分かれます。
畳音の-μι動詞 verbe en -μι à redoublement
δίδωμιやτίθημι など語幹の中心となる子音に-ι-をつけたものが語頭に来る動詞です。それぞれδι-とτι-が畳音と呼ばれる接頭辞です。φとθとχは畳音ではそれぞれπとτとκになります。
畳音無しの-μι動詞 verbe en -μι sans redoublement
φημίなど畳音のないものです。
-νυμι動詞 verbe en -νυμι
-μιの前に接中辞-νυ-が入るものです。この場合純語幹は-νυμιを除いたものとなります。例えばδείκνυμιの純語幹はδεικ-になります。
その他の分類
最初の2つ、畳音ありと無しの-μι動詞は純語幹の母音が-αか-εか-οのどれで終わるかによって分類することもできます。これらは変化によって短母音にも長母音にもなります。例えばδίδωμιは一人称単数では-ω-のように長母音ですが一人称複数ではδίδομενと短母音-ο-に変わります。