古典言語とは
そもそも古典言語とはなんでしょうか。この言葉を使っている自分でさえ曖昧なのでここではっきりさせたいと思います。
世の中で言われているものをwikiなどを参考に箇条書きにします。
- 古典文学で使われている言語
- 古代あるいは歴史上の言語
- 口語と文語とに別れる前の言語
- 周辺の文明に影響を与えた言語
- ヨーロッパ文明にとってのラテン語と古代ギリシア語
だいたいこのような定義の組み合わせであるようです。言語を数え上げると世界の歴史の中で相当な数の古典言語があります。
古典言語を英語で言うとClassical Languageといいます。クラシック音楽が英語でClassical Musicというので古典言語もまたクラシック言語と言いかえられそうです。
古典言語の特徴
私がラテン語を学んだのは学んだ言葉で日常とは別の世界に浸りたいからでした。こうした一種の時間旅行のために学ぶ人にとっては以下のような条件が出てくるでしょう。
- その言語で書かれた作品が多いこと
- 書かれた作品が現代の視点で魅力的であること
- その言語を学ぶ教材があること
一つ一つ見ていきましょう。
1. その言語で書かれた作品が多いこと
時間旅行において目的地に到着することとはその目的地で書かれた作品を読めるようになることに他なりません。仮にその言語を習得し読める段階になっても読むものが少ないとどうでしょうか?通常の旅行であれば見どころの少ない旅行先といえるでしょう。せっかく旅行に行ったのであれば見て回るものがたくさんあってほしいものです。
例えばラテン語で書かれた作品は現代に多く残っていて物語や詩、学術書や哲学書、法律や議会の記録、ラブレターや落書きなど実に多くの文献が残っています。これだけあると自分の気にいった読み物はあるのではないかという希望を持てます。
2. 書かれた作品が現代の視点で魅力的であること
通常の旅であれば旅先で様々な体験をして日常と違うことを楽しんだりします。風変わりでいて美味しいご馳走を食べたり、普段のメニューの本場の味を味わうのも旅先での醍醐味でしょう。
古典への旅行も過去の人の生活や考え方に触れるのが醍醐味になります。今からは想像もつかない生活様式であったり、意外と今でも変わらないことなどがみつかるかもしれません。
ラテン語で書かれた「恋の技法」という本は古代の恋愛指南書とも何かのパロディとも言われていますが
古代の恋愛観と今の私の恋愛観となにが違うのだろうか
と大変興味がわきます。私は日本語訳の本を読んで是非原文を読んでみたいと思いました。日本語では通常の文章なのですが原文はリズムを持つ詩になっていることを知ったからです。
また古典の旅行でもグルメ旅は可能です。料理に自信があれば、レシピの書いてある文献をもとに再現すればよいのです。ヒーリングに興味があるのなら古代の薬学の本をあさるのも面白そうです。
3. その言語を学ぶ教材があること
学ぶ教材があるかどうかは旅の可否を決める最重要ポイントです。幸いラテン語の教材は日本語でもたくさん出版されているのでそれを元に学ぶことは可能です。
ただ私は日本語の教材は途中でやめてしまいました。そしてフランス語を学びフランス語で書かれたラテン語の教材で学びました。周囲の人にはなぜそんな遠回りなことをするのかと随分聞かれたものです。
でも逆に考えてみてください。もしフランス人に紫式部や清少納言の書いたものを原文で読みたいと聞かれたらどうでしょう?私はこう答えると思います。
まず現代の日本語を学んだらどうでしょうか。日本語が理解できれば作品についてのたくさんの情報や教材、対訳が安価に手に入るので役に立つでしょう。
仮にフランス語で古典日本語について書かれたものがあるとしてもそれは現代日本人には自明で不要な多くの情報も含まれていることでしょう。そして比較的に高額であることは間違いありません。私がフランス語の教材を使ったのはとにかくラテン語の教材の種類が多いという点からなのです。