古ノルド語を現代に伝えるアイスランド

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サガは古ノルド語の方言の一つ古アイスランド語で書かれたノース人の物語です。ノース人の本土であるスカンジナヴィアは陸続きの他の文明の影響をうけ古ノルド語も現代語へと変化してしまいました。しかしアイスランドは海に囲まれているためこうした影響を受けませんでした。スカンジナヴィアの物語の多くは本土から1000キロ離れたこの島で書かれました。

ヴァイキングの時代

8世紀の後半からヴァイキングの時代が始まります。8世紀末にはノース人の船乗りによってアイスランドが発見されます。9世紀から10世紀はじめにはノース人によって島に入植地ができます。これをlandnám「土地を取得すること」と呼ばれています。さらに西に向かったノース人はグリーンランドを発見しこちらにも入植します。そしてさらに西に向かい西暦1000年ごろには北アメリカ大陸にたどり着きます。コロンブスのアメリカ発見より500年前のことです。

彼らはその土地にVínland「ぶどうの土地」という名前をつけます。カナダ東海岸のニューファウンドランド島のランス・オ・メドー L’Anse aux Meadowsという場所で彼らの遺跡が確認されています。

アイスランドの役割

初期のアイスランドはこうしたヴァイキングの活動の拠点でありその活動が記された場所でもありました。こうした著作を通して物語の手法とそれを語る古ノルド語自体とが発展しました。

ノース人入植者はほとんどの土地で力づくで土着民から土地を奪ったとされますがアイスランドでは事情が違いました。もともと無人島でほんの少数の孤独を求めるケルト人の僧侶がいたと言われ他の土地で起こるような衝突はありませんでした。アイスランドにやってきたのは自由農民や手工芸者とその家族、それに奴隷です。その数1000人ほどと推測されています。彼らが本土スカンジナヴィアの古ノルド語を北大西洋の孤島に持ち込んだのでした。

彼らを取りまとめていたのは宗教的指導者goðar(単数形goði)と呼ばれノルウェーの権力層から逃れてきた人々のようでした。彼らは居住可能な狭い土地を開墾しなければなりませんでしたがその分本土の権力闘争とは隔絶した環境にいました。10世紀の中頃にはアルシング Althingというアイスランドの封建的な政治形態が確立しさらにキリスト教も受容されました。この政治体制は今でも続いています。

13世紀中頃にノルウェー王の統治下に入り1944年に再度独立します。アイスランドは1000年以上の長いあいだ外的の侵入もまた外部への干渉も行うことなく存在しました。スカンジナヴィアの多くの土地が大きな変化にさらされる中、ノース人の文化を比較的変動のない社会体制の中で現代まで伝えているのがアイスランドなのです。

現在私たちが目にすることのできる古ノルド語のほとんどの著作はここで書かれました。

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