ローマ字の先祖

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ラテン語に使う字はローマ字

日本語で一般的に使うアルファベットのことをローマ字といいますが、これは古代ローマで使われた字のことを指します。ラテン語ではこのローマ字を使います。

英語ではRoman alphabet「ローマのアルファベット」と呼びます。この字をもとに多少のアクセントや記号をつけるなどして西ヨーロッパのほとんどの国で現在でも使われています。アルファベットという単語はギリシア文字の最初の二文字、アルファΑとベータΒを連結したものです。ちょうど日本語で文字のことを「いろは」と言いますがこれと同じ発想ですね。

ローマ字の先祖

古代ローマは古代世界では比較的後の時代に栄えた国です。それ以前にはギリシアやオリエント、エジプトが先進国でした。ローマ字は当時の先進国から伝わりました。ローマ字の先祖を見てみましょう。

フェニキア文字

今のレバノンあたりにはフェニキア人という船で地中海を中心に貿易を盛んに行う民族がいました。彼らの使っていた文字が各地方に伝わったそうです。このフェニキア文字もエジプトのヒエログリフ、つまりエジプトの遺跡にある絵文字ですね、そのあたりから編み出したと言われています。

フェニキア文字は子音だけで構成されていました。これは中東で今使われているアラビア文字やヘブライ文字も同じです。セム語派と呼ばれるこの系統の言語は子音の影響が強く子音の並びが意味の伝達に重要でした。そのため母音が文字に書かれることはありませんでした。当時の人たちはどのように母音を補えばいいかを当然のように知っていたからです。旧約聖書の神様の呼び名がヤーウェとかエホバとか発音に揺れがあるのはこのような理由が挙げられます。

ちなみにフェニキア人は英語でPoenicianと書きます。ローマとカルタゴの戦争はポエニ戦争と呼ばれています。カルタゴはフェニキア人、ラテン語でPoeniの都市国家だったのでそのような呼ばれ方になりました。

ギリシア文字

フェニキア人は貿易のため地中海にも進出しました。当然ギリシア人とも接触しました。ギリシア人はフェニキア文字を自分たちの言葉を記すために改良してギリシア文字を編み出しました。ギリシア文字Greek alphabetです。いわゆる「アルファベット」と言われる文字の先祖はギリシア文字です。

ギリシア語はオリエントで主流であったセム語派とは違うインドヨーロッパ語族、または印欧語族とも言われる系統の言葉です。なのでフェニキア人のように子音だけ記せば間違いなく意味が伝わる状況ではありませんでした。ギリシア人はフェニキア文字の中でギリシア語では使わない文字を利用して母音を表す文字としました。この母音文字の発明は同じ系統の言語を持つ文明へのインパクトが大きくギリシア文字は地中海に広く伝わるようになりました。

ギリシア文字の見ておきます。

大文字 小文字 読み方 ローマ字 備考
Α α アルファ a
Β β ベータ b
Γ γ ガンマ g
Δ δ デルタ d
Ε ε エプシロン e 短いe
Ζ ζ ゼータ z
Η η エータ ē 長いe
Θ θ テータ・シータ th
Ι ι イオタ i
Κ κ カッパ k
Λ λ ラムダ l
Μ μ ミュー m
Ν ν ニュー n
Ξ ξ クシー ks/x
Ο ο オミクロン o 短いo
Π π パイ p
Ρ ρ ロー r/rh
Σ σ ς シグマ s ςは語末のみ
Τ τ タウ t
Υ υ ユプシロン u
Φ φ ファイ ph
Χ χ キー kh/ch
 Ψ ψ プシー ps
Ω ω オメガ ō 長いo

オミクロンのミクロンは「小さい」という意味で短母音を表し、オメガのメガは「大きい」という意味で長母音を表します。エプシロン、ユプシロンのプシロンは「単純な」を意味で二重母音と区別するためについています。

イタリア北部に住んでいたエトルリア人たちも独自のエトルリア語のためにギリシア文字を少し変えて使っていました。ローマ字はこのエトルリアの文字から伝わったと言われています。

ローマ字の変遷へ続きます。

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