古ノルド語の名詞と人称代名詞について

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古ノルド語の文法は同じゲルマン語派であるドイツ語が比較的近いです。古ノルド語直系のスウェーデン語などスカンジナヴィアの言語は古ノルド語の持っていたいくつか文法的な特質を失っています。ここでは名詞と人称代名詞の特徴を見ます。

古ノルド語について(1)
古ノルド語について(2)
古ノルド語のアルファベットについて

格について

古ノルド語の格は主格nominative、対格accusative、与格dative、属格genitiveの四つです。英語の人称代名詞でいうとそれぞれI「私は」、me「私を」、to me「私に」、my「私の」にあたります。英語では名詞は格変化しませんが古ノルド語は変化します。

ドイツ語も同じ四つの格を持っていますが順番が違います。1格、2格、3格、4格と日本の文法用語で呼ばれていますがそれぞれ主格nominative、属格genitive、与格dative、対格accusativeのことです。この数字による格の呼び名は日本だけのもののようです。

格は文の構造上の役割によって変化しますが前置詞によっても変化します。前置詞はその後に続く名詞の格が前置詞ごとに決まっていてそれにしたがって名詞が変化します。このあたりの事情もドイツ語と同じです。これを格支配case governmentと呼びます。

文法の格:日本語でいう「てにをは」のこと

数について

英語、ドイツ語と同じく単数singularと複数pluralがあります。これは「一つ」か「たくさん」かの違いを表します。このほかに人称代名詞など一部に「二つ」を表す双数dualも存在します。

単数・複数・双数について

性について

ドイツ語と同じく男性 masculine、女性feminine、中性neuterがあります。父とか娘といった明らかな生物学的性sexを持つ単語については文法の性genderが一致しますが一般的には言葉の意味によって分類できるものではありません。

文法の性:男性・女性・中性について

変化の種類について

名詞はその変化の仕方によって2種類に分かれます。より変化が激しいものを強変化strong decension、そうでないものを弱変化weak declensionと呼びます。

男性名詞の特徴

男性名詞の主格単数の多くは語尾が-rのものと-iで終わるものです。-rで終わるものは強変化、-iで終わるものは弱変化をします。

  • konungr 「王」
  • Herjólfr 人名
  • Drepstokkr 地名
  • Bjarni 人名
  • frændi 「親類」

複合語の性

古ノルド語の名詞は複数の単語がくっついて一つの名詞になるものがあります。この場合最後の名詞の性が複合語の性になります。

landnámsmaðr「入植者」= land「土地」 + náms「取る」 + maðr「男」

この場合最後のmaðrが男性名詞なのでlandnámsmaðr全体も男性名詞になります。

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