ラテン語の副詞(2)

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前回の続きです。副詞の比較級、最上級について、場所を示す副詞についてです。

比較級・最上級

比較級

一般的には副詞に-iusをつけることで作られます。

  • docte「賢く」 → doctius「より賢く」
  • fortier「勇敢に」 → fortius「より勇敢に」
  • saepe「しばしば」 → saepius「より頻繁に」

元になる形容詞の比較級が不規則の場合は副詞もそれにならいます。形容詞malus「悪い」の比較級はpejor, -jus「より悪い」ですが副詞male「悪く」の比較級はpejus「より悪く」となります。

副詞の比較級は形容詞の主格中性単数と同じ形になります。例えばfortiusは「より勇敢に」という副詞でもあり「より勇敢な」という主格中性単数の形容詞でもあります。どちらであるかはコンテキストから判断します。

最上級

一般には-issimeという語尾を副詞につけます。このうち-issim-が最上級を表し-eが副詞を表す語尾になります。

  • docte → doctissime「とても賢く」
  • fortier → fortissime「とても勇敢に」
  • saepe → saepissime「とても頻繁に」

比較級と同様に形容詞の最上級が不規則の場合は副詞も同様になります。形容詞malusの最上級はpessimus, -a, -um「とても悪い」「最も悪い」ですが副詞の最上級はpessime「とても悪く」「最も悪く」となります。

場所を示す副詞

場所を表す副詞は二つの概念の組み合わせになります。位置と方向です。

位置には6つあります。

  1. 疑問形
  2. 前方照応代名詞のis「前に述べたもの」から作られる副詞
  3. 指示代名詞のhic「話し手に近いもの」から作られる副詞
  4. 指示代名詞のiste「聞き手に近いもの」から作られる副詞
  5. 指示代名詞のille「話し手と聞き手の両方から離れているもの」から作られる副詞
  6. 形容詞から特定の語尾をつけて作られる副詞

ラテン語の代名詞と代名形容詞(2):前方照応
ラテン語の代名詞と代名形容詞(3):指示

方向には4つあります。

  1. その場所で動かない場合「〜で」
  2. その場所に向かう場合「〜へ」
  3. その場所から来る場合「〜から」
  4. その場所を通り過ぎる場合「〜を通って」
〜で 〜へ 〜から 〜を通って
疑問 ubi ? quo ? unde ? qua ?
is ibi eo inde ea
hic hic huc hinc hac
iste istic istuc istinc istac
ille illic illuc illinc illac
変化語尾 -bi -o -unde -a

疑問副詞は関係副詞としても使われます。

変化語尾を形容詞につけることによって場所を表す副詞を作れます。alius「ほかの」に-oをつけるとalio「ほかの場所へ」となり-biをつけるとalibi「ほかの場所で」となります。後者は日本語のアリバイの由来になっています。

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