前回の続きです。第三変化形はパターンが多いのですが基本は主格呼格単数と属格単数の二つを覚えればあとは形式通りになります。前回は
- 主格単数とその他で子音が置きかわる dux, ducis, m.
- 主格単数が語幹そのまま consul, consulis, m.
- 主格単数が語幹だが末尾のnが消失 natiō, natiōnis, f.
までみました。
男女共通のバリエーション(続き)
civis, civis, m. 「市民」のタイプ
主格単数に変化末尾があるパターンです。主格単数の変化語尾は続書く単数と同一になる-isがほとんどですが他に-es、-exなどがあります。属格複数は-iumになります
単 | 複 | |
---|---|---|
主 | civis | civēs |
呼 | civis | civēs |
対 | civem | civēs |
属 | civis | civium |
与 | civī | civibus |
奪 | cive | civibus |
このパターンでは対格複数の語尾変化が-īsになっていることがあります。これは単語によるというよりテキストの時代によるものです。
また以下の単語では対格単数が-imに奪格単数が-īになります。
- febris, -is, f. 「熱」
- puppis, -is, f. 「船尾」
- securis, -is, f. 「斧」
- turris, -is, f. 「塔」
- tussis, -is, f. 「咳」
以下の単語では属格複数が-umになります。
- jevenis, -is, m. 「若者」
- canis, -is, m. 「犬」
- senex, -is, m. 「老人」
- vates, -is, m. 「預言者」「詩人」
次の単語vis, f. 「力」は呼格属格与格の単数が存在しません。このような変化形の欠落したものを英語でdefectiveと言います。
単 | 複 | |
---|---|---|
主 | vīs | vīrēs |
呼 | vīrēs | |
対 | vim | vīrēs |
属 | vīrium | |
与 | vīribus | |
奪 | vī | vīribus |
urbs, -is, f. 「街」のタイプ
語幹が連続した二つ子音で終わるパターンです。urbsの場合はrbという連続した子音に主格単数の変化語尾-sがついています。属格複数は-iumになります。
単 | 複 | |
---|---|---|
主 | urbs | urbēs |
呼 | urbs | urbēs |
対 | urbem | urbēs |
属 | urbis | urbium |
与 | urbī | urbibus |
奪 | urbe | urbibus |
中性のバリエーション
中性名詞共通の特徴として主格呼格対格が単数複数それぞれで同一なことが挙げられます。
flumen, -inis, n. 「河」のタイプ
主格呼格単数とその他で語幹が異なるパターンです。flumenの語幹は主格呼格単数ではflumenですがその他ではfluminになります。
このパターンの単語は主格呼格対格の複数は-aで終わり、属格複数は-umで終わり、奪格単数は-eで終わります。
単 | 複 | |
---|---|---|
主 | flumen | flumina |
呼 | flumen | flumina |
対 | flumen | flumina |
属 | fluminis | fluminum |
与 | fluminī | fluminibus |
奪 | flumine | fluminibus |
他に
- genus, generis, n. 「種」「起源」
- iter, itineris, n. 「道」
などがあります。
mare, -is, n. 「海」のタイプ
主格呼格単数は-e、主格呼格対格複数の変化語尾は-ia、属格複数は-ium、奪格単数は-īで終わります。
単 | 複 | |
---|---|---|
主 | mare | maria |
呼 | mare | maria |
対 | mare | maria |
属 | maris | marium |
与 | marī | maribus |
奪 | marī | maribus |
語幹が-alや-arで終わるものは主格呼格単数の語尾がないものがあります。
- animal, -alis, n. 「動物」
- exemplar, -aris, n. 「例」