プリニウスの『博物誌』によるとアレクサンドロス大王の時代、紀元前4世紀にアペレス Απελλής / Apellesという有名な画家がいたそうです。彫刻と違い絵画は風化が早いため残念ながら現存している作品はありません。
ウェヌス・アナデュオメネ
海から女神が出てくるモチーフはアペレスが最初に考案したものと言われています。この女神はギリシアでアプロディテ Ἀφροδίτη、ローマでウェヌス Venusと呼ばれています。Venusは英語式に読むとヴィーナスとなりこの名前が日本で一般的に使われています。このモチーフはVenus Anadyomene「海より出づるウェヌス」と呼ばれています。
下の絵はポンペイの遺跡から発掘されたものでこのアペレスの図案を元にして書かれたと言われています。
By unknown ancient Rome artist, photo of Stephen Haynes – archive of Stephen Haynes: http://www.shaynes.com/Photos/Italy_Spring_2004/CRW_8457.htm, Public Domain, Link
こちらはルネサンス期の画家ボッティチェッリの作品です。この時代はそれまでのキリスト教の神中心の世界観からの脱却が見られギリシアとローマの文化が見直される時期でした。芸術でも同じような影響がありこのモチーフが再び描かれるようになりました。
By サンドロ・ボッティチェッリ – Adjusted levels from File:Sandro Botticelli – La nascita di Venere – Google Art Project.jpg, originally from Google Art Project. Compression Photoshop level 9., パブリック・ドメイン, Link
アペレスについて
このアペレスという画家についての情報はプリニウスの『博物誌』の第35巻を除いてほとんどありません。ラテン語の原文からこの古代の画家アペレスについて読み解いていきたいと思います。