前回に続きラテン語の動詞の活用についてです。人称による活用語尾にはパターンがあって活用した動詞から人称を推測することはそれほど難しくありません。
人称語尾のパターン
以下語尾の一覧です。
パターン | 1 | 2 | 3 | 4a | 4b | 4c | 4d |
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一人称単数 | -ō, -m | -ī | -(o)r | ||||
二人称単数 | -s | -isti | -ris | -e | -to | -re | -tor |
三人称単数 | -t | -it | -tur | -to | -tor | ||
一人称複数 | -mus | -imus | -mur | ||||
二人称複数 | -tis | -istis | -minī | -te | -tote | -mini | |
三人称複数 | -(u)nt | -erunt | -(u)ntur | -(u)nto | -(u)ntor |
パターン1
ほとんど全ての能動態で現れる語尾です。ただし直説法完了と命令法をのぞきます。
パターン2
直説法完了の語尾です。
パターン3
現在語幹の受動態に現れます。完了語幹の受動態は基本的にはsumの変化に受動完了分詞の複合形になります。
またデポーネント動詞の能動態でも使われます。デポーネント動詞 deponent verbは形が受動態でも意味が能動態のものです。日本語でも「生まれる」は能動態のように使いますが形は「生む」の受動になっているのと似ています。
パターン4
このパターンは命令法で出てくるものです。4aは命令法現在能動態。4bは命令法未来能動態、4cは命令法現在受動態、4dは命令法未来受動態に対応します。
不規則活用の動詞
ラテン語にも不規則に活用する動詞があります。これらは前回見た活用形のどれにも当てはまりません。またこれらの動詞はよく使われるので特別に覚える必要があります。
以下のものが高い頻度で使われる動詞です。
- sum, esse, fuī, futūrus -である(英語のbe)
- eō, īre, iī, itum 行く
- volō, velle, voluī, – 欲する(スミーヌムなし)
- ferō, ferre, tulī/tetulī, lātum 運ぶ
またこれらの不規則動詞から派生した動詞も同じような変化をします。例えばabsum「離れたところにいる」「(その場に)いない」という動詞はsumの前にab-がついたものです。この場合ab-はそのままでsumの部分が元の動詞と同じような不規則変化をします。
他にも以下のようなものがあります。
- praeferō「前に運ぶ」「好む」prae + ferō
- possum「できる」potis + sum
- nōlō「拒む」ne + volō
- exeō「外に出る」ex + eō