サンスクリットの文字(1)

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サンスクリットはヴェーダで使われていた頃は文字を持ちませんでしたが次第に文字として記述されるようになりました。その時代によって記法が異なり現在に至っています。現在では一番多く見られるテキストではデーヴァナーガリー देवनागरी という文字やローマ字が使われています。日本では仏典の影響でサンスクリットを梵字で書くことがありますがこれは仏教が伝来した時に使われていた文字で現在では一般的ではありません。梵字は悉曇文字、Siddhamātṛkāなどと呼ばれ現代のデーヴァナーガリーにつながる文字です。

デーヴァナーガリーについて

デーヴァナーガリーは子音の字に色々な符号をつけることによって母音を変化させる表記をします。ローマ字がka ki ku ke koとするのと同様にデーヴァナーガリーではक कि कु के को となります。कがkaを意味しますがこれに左横に記号をつけることによってकिつまりkiになります。कと同じように他の子音記号を覚えてしまえばその母音の変化は全く同じなので仮名より単純な構造と言えるでしょう。

子音のつかない母音だけの文字は特殊なのでこれは別に覚えなくてはいけません。また日本語よりも母音と子音の数が多いのでこれも注意が必要です。

ローマ字表記について

母音と子音の数が多いため通常のローマ字だけではサンスクリットを表現できません。一般にはIAST(International Alphabet of Sanskrit Transliteration)という方式が採用されていて文字の上下に特殊な記号をつけて表現します。

サンスクリットの母音

サンスクリットで使われる母音は日本語よりも範囲が広い扱いになっています。ローマ字では子音に扱われるrやlに近い音も登場します。

deva IAST 説明
a 少しエに近い短母音のア
ā 長母音のア
i 短母音のイ
ī 長母音のイ
u 短母音のウ
ū 長母音のウ
短母音のri
長母音のri
短母音のli
長母音のli
e 短母音のエ
ai 二重母音のアイ
o 短母音のオ
au 二重母音のアウ

アとイとウには短母音と長母音がありますが、エとオは短母音だけです。またエとオにそれぞれ近い形の字でアイとアウという二重母音があります。ṛとḷの音はもともとはrとlとは別の音だったようですが今はri、liと発音します。

長短の母音の関係を整理すると以下のようになります。

長/二重
ri
li
エ/アイ
オ/アウ

母音の後ろにつく音

これらの母音の後にṃやḥという音がつくものがあります。aにつけた場合以下のようになります。

deva IAST 説明
अं aṃ 鼻母音のアン
अः aḥ アの後に強い息をだす

ṃは文字の下に点をつけ、ḥは文字の後にコロンのような記号をつけます。またこの二つは母音に限らず次に出てくる全ての子音を使った文字にもつくことができます。

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