サンスクリットの文字(2)

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日本の仮名を一覧するのに使われる50音表の成立にはサンスクリットの影響があると言われています。縦方向が母音、横方向が子音の二次元のマス目をつかって音をならべて行く方法です。

例えばひらがなであればカ行、サ行は「かきくけこ」「さしすせそ」と全ての音の字が異なりますがデーヴァナーガリーでは क कि कु के को、स सि सु से सो と行ったように子音文字 क स から規則的に導けます。このため仮名の50音表のようなものはデーヴァナーガリーでは一般的ではありませんが音の変化を想像する時には50音表の概念は役にたちます。

サンスクリットの子音

サンスクリットの複数の子音は判別が難しい場合があります。ちょうど英語のLとRが日本語ではラ行に混ざってしまうのと同じ状況です。

無気音と有気音と鼻音

ほとんどの子音で無気音 unaspirated と有気音 aspirated の区別があります。例えばカ行には無気音と有気音の二種類があります。

deva IAST 説明
ka 無気音のカ
kha 有気音のカ

発音については現代のヒンディーを参考にすると以下のような区別になります。

  • 無気音のkaは日本語の通常のカの音
  • 有気音のkhaは日本語のクハを縮めたような音

発音を学ぶいい方法としては日本にも数多くあるインドネパール料理店で働いている現地の方の会話を聞いてみることです。また直接その方たちに「これはどのように発音するのか」と聞いても大抵親切に教えてくれると思います。

鼻音 nasal は鼻からも空気を通過させながら出す音でナやマの音がこれに当たります。

子音の分類

子音は舌の置く位置で分類されます。

軟口蓋音 velar

口蓋とは口の中の天井に当たる面を指します。このうち喉に近い側を軟口蓋と呼びます。下で触るとわかると思いますが喉に近い側は骨がなく柔らかくなっています。ここに舌の奥の方を当てます。カやガの音がこれにあたります。

硬口蓋音 palatal

硬口蓋は口蓋の歯に近い部分で骨があり難くなっています。この部分に舌の前の部分を当てるのが硬口蓋音です。チャやジャという音がこれに当たります。

反り舌音 retroflex

舌を丸め舌の先を硬口蓋と軟口蓋の境目あたりに当てて出す音です。日本語や英語の発音にはないため親しみのない音ですが曇ったタやダの音に近いです。

歯茎音 dental

舌の先を上の歯茎につけて出す音です。タやダがこれに当たります。

両唇音 labial

舌は宙に浮かせたまま唇を閉じて空気を押し出す時に出る音です。パやバの音がこれに当たります。

子音の一覧

上記の分類に当てはまるもの

デーヴァナーガリーとIASTの両方を載せます。

子音 無声 有声 鼻音
無気 有気 無気 有気
軟口蓋音 क ka ख kha ग ga घ gha ङ ṅa
硬口蓋音 च ca छ cha ज ja झ jha ञ ña
反り舌音 ट ṭa ठ ṭha ड ḍa ढ ḍha ण ṇa
歯茎音 त ta थ  tha द da ध dha न na
両唇音 प pa फ pha ब ba भ bha म ma

以下注意点です。

  • IASTで母音の前にくるhは有気音を表します。
  • ङ ṇaは通常は子音だけの音ṇで使われます。
  • च caはチャに近い音です。
  • ञ ñaはニャに近い音です。
  • 反り舌音のIASTは歯茎音の子音字の下に点をうちます。

半母音 semi-vowel

  • य ya ヤの音です。
  • र ra 巻き舌のラの音です。
  • ल la 舌の先を上の歯茎に当てるラです。
  • व va ヴァとワの間の音です。

摩擦音 fricative

  • श śa シャの音です。
  • ष ṣa 反り舌音のサです。
  • स sa 普通のサです。
  • ह ha ハの音です。
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