ギリシア文字のインターネット環境での問題
以前ギリシア文字のインターネット環境での不便な点について書きました。
これはアルファベットのみの環境で日本語を使う不便さと共通したものがあります。今でこそUnicode ユニコードの普及で一つの文字コードで各国語が表示できるようになりましたがUnicodeは1文字に最大3バイトの情報量が必要なため未だ厳しい制約のある環境では1バイトで事足りるASCII文字コードが使われる事があります。
このASCII文字コードで情報落ちのないように古典ギリシア語を記述する方法の一つとしてBeta Codeベータコードが考案されました。古典ギリシア語に必要な各記号も保持できるためBeta Codeで記述されたギリシア語は元のギリシア文字表記に完全に復号することができます。
Beta Codeの概要
まずアルファベットです。大文字を表現するには文字の前に*をつけます。Beta Codeは大文字小文字の区別はありません。
ギリシア文字 | Beta Code | 備考 |
---|---|---|
Α α | A | |
Β β | B | |
Γ γ | G | |
Δ δ | D | |
Ε ε | E | |
Ϝ ϝ | V | 古い時期に存在した文字 |
Ζ ζ | Z | |
Η η | H | |
Θ θ | Q | |
Ι ι | I | |
Κ κ | K | |
Λ λ | L | |
Μ μ | M | |
Ν ν | N | |
Ξ ξ | C | |
Ο ο | O | |
Π π | P | |
Ρ ρ | R | |
Σ σ ς | S | |
Τ τ | T | |
Υ υ | Y | |
Φ φ | F | |
X x | X | |
Ψ ψ | Y | |
Ω ω | W |
WindowsやMacのギリシア語Polytonicキーボードの入力方法と文字のマッピングが少し違うので注意してください。
以下の記号は対象の文字の後に置きます。ただし語頭の大文字の場合は記号は先に置きます。有気無気記号はアクセントより前に書きます。下書きのイオタはアクセントより後に書きます。
記号 | Beta Code | 名称 |
---|---|---|
̓ | ) | 無気記号 |
̔ | ( | 有気記号 |
́ | / | 鋭アクセント |
͂ | = | 曲アクセント |
̀ | \ | 重アクセント |
̈ | + | 分離記号 |
ͅ | | | 下書きのイオタ |
̄ | & | macron |
̆ | ‘ | breve |
記述例
Beta Codeへの変換例です。
ギリシア文字 | μῆνιν ἄειδε θεὰ Πηληϊάδεω Ἀχιλῆος |
Beta Code | mh=nin a)/eide qea\ *phlhi+a/dew *)axilh=os |
ギリシア文字からBeta Codeへの変換、その逆の変換が問題なくできる事を確認してください。
利用方法
オンライン辞書
英語ですがオンラインの辞書でBeta Codeで入力するサイトがあります。こちらは変化形を入力するとその品詞から変化の情報まで表示するためとても便利です。復号後のギリシア文字も表示するので復号ツールとしても使えます。
http://www.perseus.tufts.edu/hopper/morph?la=greek
Macのキーボード入力
以前Macの基本のギリシア語入力について話しましたがBeta Codeで入力するキーボードもあります。
http://www.benjaminblonder.org/sophokeys/