ルーン文字について

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ルーン文字 Runesは古代のスカンジナヴィアで使用された文字です。当時使われた古ノルド語を表記するために使われ木や石、骨、角、金属に刻まれることで現在まで伝わっています。

フサルクとは

ルーン文字はアルファベットの一種で表意文字ではありません。またアルファベットがギリシア文字のアルファとベータをつなげた言葉であるようにルーン文字もフサルクと呼ばれています。これはルーン文字の最初の6文字 ローマ字表記したFUTHARKをそのまま読んだ言葉になります。

古いフサルクによる表記 ᚠᚢᚦᚨᚱᚲ

若いフサルクによる表記 ᚠᚢᚦᚭᚱᚴ

THは1文字で古ノルド語に近い現アイスランド語ではÞと表記されます。ルーン文字が6文字なのにローマ字表記が7文字なのはこのためです。

ゲルマン系の言語でTHが一つの子音であったことは英語の単語にthを含むものが多いことでもうかがえます。

ルーン文字は出自の証明や記念碑、メッセージや祈祷に使われました。この祈祷に使っていたイメージが現在では強く意識されていますがそのほかの大部分は実生活に直結したものでした。ヴァイキング時代のほとんどの情報はルーン文字の情報源です。

ルーン文字の起原

初期のルーン文字は紀元1世紀にローマ帝国の影響で作られました。ローマ側の記録にもある通りゲルマン人とローマ人は接触がありました。古ノルド語や他のゲルマン言語の話者がローマ字や古代イタリアの文字を自分たちの言葉に適用したのがその始まりと言われています。

ペンとインクと巻物を使わなかった彼らは物に彫って表現できるように文字の形を変えました。そのため文字には直線が多く丸みがありません。紙とペンが伝わるのは10世紀のキリスト教の普及まで待つことになります。

彼らは訪れた土地に自分たちの足跡を残すために石碑を残しました。そこに刻まれているのがルーン文字です。記述方法は統一されておらず文字が抜けることよくありました。略語も多用され句読点や文字の区切りもないため古ノルド語がわかる人でさえ戸惑うことがあります。

ルーン文字は当時のすべての階級で使われていましたがルーンストーンと呼ばれる石碑は上流階級だけが作りました。

ルーン文字の種類

古いフサルクは5〜6世紀、若いフサルクは9世紀後半から10世紀前半のもので地域によっても文字の構成に多少違いがあります。

ローマ字 備考
f
u
th
a
a,o
r
k (若)ではgも兼ねる
g
w
h
n
i
j
E
p
R
a 鼻母音に近い
s
t dも兼ねる
b (若)ではpも兼ねる
e
ᛘ,ᛙ m (若)では2通りの記述あり
l
ng
o
d
R

古いフサルクは24文字でしたがこれが若いフサルクの時代になると16文字に減ります。

ᚱᛉᛦはrの音を表していますがᛉとᛦには大文字のRを当てています。ᚾやᛘ,ᛙは子音の前ではしばしば脱落します。

また若いフサルクは別名「長い枝のルーン」long-branch runesと言われます。これはもっと後の「短い枝のルーン」short-twig runesと区別する呼び名です。

ルーン文字の解読

簡単な解読例を挙げます。

若いフサルクでの表記 :ᚴᚢᚱᛙᛦ:ᚴᚢᚾᚢᚴᛦ:
ローマ字の転写 :kurmR:kunukR:
標準的な古ノルド語表記 Gormr konungr
英訳 King Gorm
和訳 ゴルム王

上から順に読み下していますが一番困難なのは「ローマ字の転写」から「標準的な古ノルド語表記」への変換になるでしょう。ᚴはkもgも表しますので適宜読み替えます。kunukRはkunuとkRの間にあるはずのnが脱落していたので補います。また母音の表記とくにeやoは他の母音で置き換わるケースが多いため適宜読み替えます。おそらく古ノルド語の語彙にも固有名詞にも精通していないとこの作業は不可能だと思います。

このため現在読む一般的な古ノルド語のテキストは「標準的な古ノルド語表記」で記述されています。

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