ギリシア語の言葉:エンジェル・エヴァンゲリオン・フィラデルフィア

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エンジェルはニュースを伝える

angel エンジェルの日本語訳は天使のことで、天つまり神の使いという意味です。その由来をたどるとギリシア語のὁ ἄγγελος / angelos 「知らせる人」につながります。英語ではmessangerと訳されますがそれとは別に「天からの」という意味を強調するためにギリシア語の単語がそのまま英語まで流入したと思われます。

アメリカ西海岸のロス・アンジェルス Los Angelesはスペイン語で天使の複数形になります。もともとの地名はもっと長く聖母マリアの別名 Nuestra Señora la Reina de los Ángeles 「私たちの淑女、天使たちの女王」が入った地名が略されたものだそうです。

エヴァンゲリオンはグッドニュース

angelosの前に「良く」という意味の副詞 εὐ-がつき後ろに中性化する接尾語 -ιονがつくとτό εὐαγγέλιον / evangelion エヴァンゲリオンという言葉になります。「知らせる人」は中性化することで「知らせ」の意味になりますので「良い知らせ」という意味になります。日本の聖書では福音と訳されています。

英語ではthe Good Newsグッドニュースまたはthe Gospelと言われています。このgospelは古くはgood spellが一つになったものと言われているため英語のどちらの言葉も「良い知らせ」というギリシア語の意味をくみ取っている事になります。

もともとのギリシア語は「良い知らせ」以上の意味はありませんでした。キリスト教での解釈は「イエスの死と復活、神の国の到来」という特定の意味を指すようになっています。

フィロソフィーは知恵を愛する事

親しい友人のこと、愛人のことをὁ φίλος /philosと言います。ἡ σοφία / sophiaは知恵の意味で英語でいうwisdomにあたります。この二つが連結したものがἡ φιλοσοφία / philosophia 「知恵を愛する事」の意味になりました。学問への情熱や知らない事を知ろうとする探究心の意味でしたが「哲学」という固定された概念を表すようになりました。

フィラデルフィア

アメリカの東海岸にフィラデルフィア Philadelphiaという街があります。18世紀後半の独立戦争の頃に一時期ではあるものの首都機能を担ったアメリカ史でも重要な街です。

ὁ ἀδελφός / adelphos 兄弟という言葉と先ほどのphilosまたはその動詞のφιλἐω / phileo 「私は愛する」の連結した言葉で「兄弟愛」という意味になります。当時のアメリカで多かれ少なかれ近隣の移住者同士やネイティブとの間に諍いがありそれを諌める意味での命名だったようです。

今のJordan ヨルダンの首都Amman アンマンは古代には同じフィラデルフィアと呼ばれていたとの事です。

 〜フィリア

同じphilosから発展した接尾語なのですが「常軌を逸して愛する事」〜嗜好症、性的な嗜好といったネガティブな意味で使われるため使用には注意が必要な語尾です。近代以降の造語が多いのも特徴です。

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