言語学習の旅程の作り方(2)

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前回まで

学習の段階を大きく3段階に分けて最初の段階の説明をしました。

言語学習の旅程の作り方(1)

  1. 環境整備と基礎
  2. 文法の学習
  3. 読解とボキャブラリーの充実

この2段階目と3段階目はきっちり線の引けるものではなく2段階目からだんだんと3段階目に移行してきて2段階目の作業をほとんどしなくなったタイミングで移行完了となります。3段階目の目安は「学習書が手元になくても問題ない状態になること」です。

2.文法の学習

ここでの目標は学習書の内容を自分なりに吸収して覚えるかノートに要点を書き写して学習書を必要としなくなる状態を作り出すことです。

一通りの文法を覚える

学習書に書かれている文法は一通り理解します。ただ全部を覚えるのは大変なのでノートにまとめておいて後でいつでも見返すことができるようにしておきましょう

変化形のパターンを覚える

ラテン語やギリシア語は名詞、形容詞、動詞などが多様に形を変化させる一方で辞書には基本形しか載っていません。このため知らない単語を見た時にそれが変化形であるかをまず判断します。変化形であれば基本形を予想して辞書を引くという作業が必要になります。

と簡単に言ってもそれがすらすら出てくるようにするのはとても時間と労力がいることです。ノートに簡単な一覧表をまとめておくと良いでしょう。また学習が進むたびにその一覧表も随時更新するようにしましょう。

前置詞や接続詞を覚える

前置詞や接続詞、疑問詞や主な副詞は頻繁に出てきますし文章の構造にも影響を与えます。

英語でいえばinとかtoなどの前置詞やandやbut、whereなどは改めて辞書は引きませんよね。学習が進むと辞書を引く単語のほとんどは名詞、動詞、形容詞になってくるはずです。出現頻度の低い副詞は形容詞から派生しているものがほとんどです。

前置詞や接続詞、疑問詞や主な副詞など無変化で高い頻度で出てくる単語はボキャブラリーとは考えずに文法の中に含まれると考えて文法と一緒に学んでしまいましょう。もちろん覚えきれないので最初はノートにまとめておくと良いと思います。

ボキャブラリーを増やす

これもノートにまとめておくと良いでしょう。とはいえノートに書いたボキャブラリー集は習った順でアルファベット順にはならないので書き捨てに近いものになります。これは小学校の時の漢字書き取りと同じものと理解すると良いでしょう。

単語の定着率は一ヶ月たって10%でも覚えていれば御の字です。覚えきれないからといって悲観する必要はありません。むしろ漢字書き取りのことを思い出してひたすら書く方が建設的です。

目標とする原書が読めるか時々確認する

目標としているテキストをたまに眺めてみましょう。知っている単語があるか、とかどんな文章の作りになっているのだろうと頭を巡らせてみるのも良いかと思います。セリフなど短い一文があればそこだけ訳してみるのも面白いです。

また目標と外れますが格言で使われているラテン語やギリシア語を見て回るのも楽しいです。

原文と訳をノートに写す

基本的に書く労力は惜しまない方が上達すると思います。書く時にはスペルを頭に浮かべながら書きますし書きながら発音するのも良いでしょう。書き写しは読む書く話すを広くカバーすることができます。

また書き移す時に一度にできるだけ多くを書き移すようにしましょう。単語1個ずつ書き移すより2つ、3つあるいは全文という風に多くを頭の中に収めて置くのは文章に親しむいい練習になります。そのときに訳や単語の分析(完了形とか複数とかの情報)も書いておくと後で見返した時に役立つノートになります。

ノートを整理する

今まで書き込んだノートを時々棚卸しして見直してみましょう今でもよく参照したい部分があればぬきとるなり書き移すなりしましょう。ルーズリーフを使っておくとこういう時に便利です。

3.読解とボキャブラリーの充実

学習書を終えて原文を読む段階にきました。この段階は学習の最終段階であると同時に実際にその言語を使いこなす段階とも言えます。そして読み続けることが大事です。

ボキャブラリーのノートは作っても良いですし作らなくても良いと思います。というのもいちいち辞書で同じ単語を引いていると結局覚えてしまうからです。これも前に書いた書き取りの効果と同じものです。人間は同じ作業を続けるとうまく効率化する術を持っていると思います。

最初に読むテキストはLOEBやBelles Lettresのような見開きで対訳のついたものが楽だと思います。原文が難く感じるのであれば訳だけ最初に読んでしまいましょう。

また読んでいるうちに理解できない事態に陥ったら落ち着いて単語を調べます。必要であれば文法事項を見返しましょう。

自分で気に入った文章を真似して作文をしてみるのも面白いでしょう。またネット上にはいろいろ情報がありますしラテン語のラジオ放送や動画などもあります。

日本語を覚えるには生まれてから何年もかかっています。ましてこれだけ離れた土地の離れた時代の言葉を覚えるのは一生かかってもおかしくありません。それに古典はたくさんの読むべきテキストがあります。これを考えると一生退屈することはなくなるのではないかと思っています。

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