文法の性とは
日本語で「性」という概念に対応する英語は二つの系統があります。一つは生物学上の性別を意味するsex、もう一つは社会的な役割を意味するgenderです。昔はこの二つの言葉は交換可能でしたが今は別な概念になってきています。
文法上の性は後者のgenderの訳がもとになっています。これは「生まれ」「起源」「種族」「種類」を表すラテン語genusがもとになっています。その派生語は日本語でもジェネリック、ジェネレーター、先ほどのジェンダーなどが見つかります。フランス語ではこの文法用語はgenreとなっていてこれは日本語のジャンルにつながります。「音楽のジャンル」なんていうと性とはあまり関係ないですね。
神社の参道に傾斜の急な道と緩やかな道があるとそれぞれ男坂・女坂と呼ばれますが文法上の男性・女性の違いもこの程度の違いと理解してよいと思います。
英語で男性名詞はmasculine nouns、女性名詞はfeminine nounsと言います。masculineは筋肉を表すmusculusというラテン語から、feminineは女性や妻を表すfeminaというラテン語からきた形容詞です。フェミニンという言葉は日本語でも日常語になっていますね。
中性とは
ラテン語、ギリシア語には男性女性の他に中性という分類があります。これこそ生物学的な性別で考えることが難しい概念ですね。一般的には生物でない物質や抽象的な概念は中性に分類されています。
中性は英語でneuterと言いますがラテン語のneuterからきています。日本語でもこれから派生したニュートラルという言葉は日常語になっています。
neuterはneとuterにわかれます。uterは「二つあるうちのどちらか一方」といういみでneがそれを打ち消すため
二つあるうちのどちらでもない
という意味になります。中性というと男性と女性の中間のように思えますが実際は「無性」などと表現したほうがいいかもしれません。
ラテン語の中性単数のほとんどは-umで終わっています。元素でアルミニウムとかマグネシウムなど〜ウムという語尾で終わっているものはまず中性名詞とかんがえてまちがいないでしょう。