巫女の予言(18)人類の創造その2

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第18スタンザは神々が人間の始祖であるアスクとエンブラに命を与える場面です。

テキスト

Önd þau ne áttu, / óð þau ne höfðu,

彼らは生きる力を持っていなかった 歌う心も持っていなかった

lá né læti / né litu góða;

温かい血も 声も 生気のある肌の色も

önd gaf Óðinn, / óð gaf Hœnir,

オーディンが生きる力を与えた ヘーニルが歌う心を与えた

lá gaf Lóðurr / ok litu góða.

ローズルが温かい血と 生気のある肌の色を与えた

Poetic Edda – Völuspá 18

Odin, Lodur, Hoenir skabe Ask og Embla by Frølich.jpg
By Lorenz Frølich – Published in Gjellerup, Karl (1895). Den ældre Eddas Gudesange. Photographed from a 2001 reprint by bloodofox (トーク · 投稿記録)., パブリック・ドメイン, Link

解説

Önd þau ne áttu, / óð þau ne höfðu,

öndは女性名詞 önd「息」「魂」の対格単数です。息と生命が繋がる感性は日本語の「生き」「活き」「息」の音が同じなのことと共通なものです。

þauは指示代名詞の主格中性複数で前スタンザのアスクとエンブラを指します。通常男女混ざった複数を指す場合には男性複数なのですが中性複数を使っているのは彼らが「生きている人間」というより「生気のないモノ」に近い状態であるのを表現しているのだと思われます。

neは否定の意味の副詞で英語のnotにあたります。áttuは動詞 eiga「持つ」「所有する」の三人称複数過去です。

後半も前半と並置されています。óðは男性名詞 óðr「心」「歌」の対格単数、höfðuは動詞hafa「持つ」の三人称複数過去です。

lá né læti / né litu góða;

前行に引き続き「彼らが持っていない物」列挙です。láは女性名詞「血」「温かさ」の対格単数、 lætiは複数のみの中性名詞 læti「行い」「声」の対格、lituは男性名詞 litr「色」「見かけ」の対格複数でgóðr「良い」の対格複数góðaと合わせて「よい顔色」「生気のある肌の色」「よい見かけ」の意味になります。

önd gaf Óðinn, / óð gaf Hœnir,

lá gaf Lóðurr / ok litu góða.

gafは動詞 gefa「与える」の三人称単数過去です。ここで三柱の神の名前が出て来ます。Óðinn オーディンとHœnir ヘーニル、Lóðurr ローズルです。

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