散文のエッダについて

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ヴァイキングの時代には詩は神オーディンÓðinnの贈り物と理解されていました。オーディンはゲルマン民族の神で戦いと死を司ると同時に詩や知恵やルーン文字の神でもありました。詩人は同時代の人々に賞賛され、のちの人々に高く評価されました。詩は神々の神話や英雄の物語というだけでなく知恵の源でもありました。当時の多くの人々、男女ともに詩を作ったり評価したりといった活動をおこなっていました。

ノース人の詩には大きく分けてスカルドskaldicとエッダeddicがあります。スカルドは同時代の王や戦士を語っているのに対してエッダは主に古代の神や英雄について語っています。

エッダの中には世界の創造とその後の初期の世界、神々の滅亡と最後の戦いという黙示録的な内容までが書かれています。『散文のエッダ』 The Prose Edda (英語以下en.)は別名スノッリのエッダ Snorra Edda (古ノルド語以下ON)とも呼ばれています。スノッリ・ステュルルソンSnorri Sturlusonという13世紀のアイスランド人の作といわれています。

有名なエッダは他にもっと古い時代の『詩のエッダ』The Poetic Edda別名、古エッダElder Eddaという作品もありますがこの散文のエッダはノース人の神話、日本では一般に北欧神話と呼ばれる神話の突出した原典となっています。

散文で書かれているものの部分部分にエッダやスカルドの形式の韻文をちりばめた作品で神々、巨人、ドワーフや他の超自然的な神話の生き物が登場します。また古代の王や女王、戦士の冒険の話も収められています。

また4世紀から6世紀にかけての西ローマ帝国の滅亡の時期に生まれた土地を離れ帝国領に侵入していった部族の話もありますが散文のエッダの中心はギュルヴィたぶらかしThe Deluding of Gylfi (en.) Gylfaginning (ON)です。

Manuscript Gylfi.jpg
Public Domain, Link

この話は対話形式になっていてスウェーデンの王ギュルヴィ Gylfiと三人の男ハール Hárとヤヴンハール Jafnhárとスリジ Þriðiが登場します。知恵を求める王は旅人ガングレリGangleriと名乗りアース神族 Æsirを訪ねる旅に出ます。アース神族とはオーディンをはじめとする神々のことです。アース神族の館にたどり着くとそこでガングレリこと王ギュルヴィはハールたち三人の男と会います。彼ら三人はオーディンの化身でした。ガングレリはアース神族の持つ力の源を知ろうと様々な質問をします。三人はその答えとして様々な物語を語ります。

このガングレリの対話は古エッダのヴァヴスルーズニルの言葉 The Lay of Vafthrudnir (en.) Vafþrúðnismál (ON) を題材にしていると言われています。そこではオーディンが巨人ヴァヴスルーズニルVafþrúðnirと知恵比べをするときに様々な物語が語られます。

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