ラテン語の動詞:直説法完了能動態

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直説法完了は完了語幹から作られます。現在の時点で完了した動作を表すことから過去の動作が表されることもあります。「〜した」と訳されます。

現在と完了の人称語尾の比較

現在と完了の人称語尾を比較します。現在の人称語尾は現在語幹の後に、完了の人称語尾は完了語幹の後につきます。

 現在 完了
一人称単数
二人称単数 -s -istī
三人称単数 -t -it
一人称複数 -mus -imus
二人称複数 -tis -istis
三人称複数 -(u)nt -ērunt

三人称複数は-ēruntの代わりに-ēreになることがあります。これはより古い時代の用法とされていますが詩にはリズムの都合から古典期でもよく使われます。

規則活用の動詞

第一
愛する
第二
壊す
第三A
読む
第三B
取る
第四
聴く
一人称単数 amāvī dēlēvī lēgī cēpī audīvī
二人称単数 amāvistī dēlēvistī lēgistī cēpistī audīvistī
三人称単数 amāvit dēlēvit lēgit cēpit audīvit
一人称複数 amāvimus dēlēvimus lēgimus cēpimus audīvimus
二人称複数 amāvistis dēlēvistis lēgistis cēpistis audīvistis
三人称複数 amāvērunt dēlēvērunt lēgērunt cēpērunt audīvērunt

注意する点

三人称複数の別の人称語尾

上でも書いた通り古い形の人称語尾が三人称単数にはあります。

  • amāvērunt = amāvēre「彼らは愛した」

活用の中略型 syncopation

活用のうち語尾の中程が消失する場合があります。特に完了語幹に-v-や-u-がつくものはこの現象が見られます。ラテン語のvはヴァ行ではなくワ行であることから母音が連続する場合に起こる縮約contractionと同じような現象だと考えられます。

  • amāstī = amāvistī「君は愛した」
  • audīt = audīvit「彼は聴いた」

中略されたaudītは直説法現在能動態三人称単数auditと同じ形ですがiが完了中略型では長母音、現在の場合は短母音の違いがあります。

legoの三人称単数と一人称複数について

現在ではそれぞれlegit、legimusですが完了ではlēgit、lēgimusとなります。長母音の記号がない場合は同一に見えますが現在ではlの後のeが短母音、完了では長母音となります。

長母音の記号がないテキストでは文脈から、詩であればリズムからどちらの時制であるか判別します。

現在語幹で不規則活用の動詞

完了語幹を使う活用では基本的に規則的です。

sum volo ferō
-である 行く 欲する 運ぶ
fuī iī, īvī voluī tulī
fuistī iistī, īstī, īvistī voluistī tulistī
fuit iit, īvit voluit tulit
fuimus iimus, īvimus voluimus tulimus
fuistis iistis, īstis, īvistis voluistis tulistis
fuērunt iērunt, īvērunt voluērunt tulērunt

注意する点

sumやferōの完了語幹

sumとferōの完了語幹はそれぞれfu-とtul-と言うように現在語幹と全く異なります。現在と完了の語幹が異なるだけで人称語尾のつき方は通常の人称変化と同じです。

eōの活用

eōの完了語幹はi-ですが他にīv-という形もあります。īv-の中略型としてi-になったようですがi-のほうが頻度が高いです。

また人称語尾のつき方によってはiiと短母音のiが連続する場合と一つの長母音īになることがあります。

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