ラテン語形容詞の比較級

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ラテン語の形容詞の変化は以前に見ました。しかし現代英語と同じようにラテン語の形容詞も比較級comparativeと最上級superlativeがあります。通常の形容詞は原級positiveと言います。比較級は「〜より〜だ」という表現に使います。比較対象を補うには2通りの方法があります。

比較級 + 奪格の比較対象

比較級 + quam + 比較対象

quamを使う場合は比較する二つのものは同じ格にします。

規則的な変化をする比較級

後に書きますがラテン語には数が限られていますが不規則な比較級の形を持つものがあります。ここでは規則的な比較級の作り方を説明します。必要なものは属格男性単数の形です。

doctus「物知りな」の属格男性単数はdoctisです。この語尾-isの代わりに比較級の主格は男性、女性、中性の順に-ior、-ior、-iusをつけます。変化は第三形容詞のmajor, -jusと同じ変化をします。

男女共通 中性
doctior doctius
doctior doctius
doctiōrem doctius
doctiōris doctiōris
doctiōrī doctiōrī
doctiōre doctiōre
doctiōrēs doctiōra
doctiōrēs doctiōra
doctiōrēs doctiōra
doctiōrium doctiōrium
doctiōribus doctiōribus
doctiōribus doctiōribus

第一第二変化の形容詞も第三変化の形容詞も属格男性単数は語尾が-isなので迷うことはないと思います。

原級 属格男性単数 比較級 意味 備考
doctus doctis doctior, doctius より物知りの
fortis fortis fortior, forius より強い
prudens prudentis prudentior, prudentius より思慮深い 複数形のみ

不規則な変化をする比較級

大抵の言語で不規則変化をするものは日常での利用頻度が高いものになります。頻度の低いものほど規則的に変化する傾向があります。

語幹が異なるもの

原級 比較級 意味 備考
bonus melior より良い
magnus major より大きい
multi plures より多くの 複数形のみ
malus pejor より悪い
novus recentior より新しい
parvus minor より小さい
propinquus propior より近い
vetus vetustior より古い

-eus、-ius、-uusで終わるもの

原級の前に副詞magisをつけます。このため変化は元の第一第二変化形になります。

ただし例外があり-quusで終わるものは規則変化です。

原級 比較級 意味 備考
pius magis pius より敬虔な
arduus magis arduus より高尚な
antiquus antiquior より古い時代の 規則変化

-dicus、-ficus、-volusで終わるもの

規則変化の-iorの前に-ent-という接辞が挿入されます。

原級 比較級 意味 備考
magnificus magnificentior より威厳のある
maledicus maledicentior より中傷的な
benevolus benevolentior より良心的な 規則変化

原級がないもの

副詞や前置詞や名詞から比較級が作られるケースもあります。この場合その比較級に相当する原級がありません。

元の単語 比較級 意味 備考
extra exterior より外側の 前置詞「〜の外に」より
intra interior より内側の 前置詞「〜の中に」より
citra citerior より良心的な 副詞「こちら側に」より
ultra ulterior より向こうの 副詞「向こうに」より
prae prior より前の 前置詞「〜の前に」より
infra inferior より下の 前置詞「〜の下に」より
jevenis junior より年下の 名詞「若者」より
senex senior より年上の 名詞「年長者」より

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